小学生の英検受験、何級から始めるのがベストな選択?

小学生で英検を受ける子どもが年々増え続けています。


日本英語検定協会が発表した2023年のデータ1によると、全受験者数に占める小学生以下の割合は約12%。
つまり、10人に1人以上の受験生は小学生以下ということになります。

英検には1級〜5級の級がありますが、2級と3級の間に準2級プラスと準2級、1級と2級の間に準1級が入っているので、全部で8つの級が設定されています。


小学生が英検を初めて受験するときには、何級を目標にするのが良いのでしょうか。
難しい級に頑張ってチャレンジするのか、まずは一番簡単な5級から受けるのか。

何級を受験するのが子どもにとっていいのだろう?

初めての英検受験、不安を感じることも少なくないでしょう。


この記事では、小学生が英検を受けるメリットやデメリット、小学生にとっての各級の難易度について詳しく解説していきます。

こちらでは5級からの受験をおすすめしていますが、お子さんの能力や環境によっては上位級から受験をした方が良い場合もあります。


どの級から始めるのが最適なのか、各級に求められているレベルと子どもの能力や性格を踏まえた上で、しっかり考えて決定することが大切です。

目次

小学生が英検を受けるメリット

子どもが英検を通して得られるさまざまなメリットについてまとめてみました。
英語の能力向上だけではない意外な効果もありますので、ひとつずつ詳しく解説していきます。

英検で英語学習を先取りして自信に

小学生で英検を受けることで、英語の学習を他の子よりさらに一歩先へ進めることができます。

英語は高校受験や大学受験において必要な科目として扱われることが多く、早いうちから基礎を固めておくことで後々の学習効率がぐっと上がります。

英検では、

  • リーディング
  • リスニング
  • ライティング
  • スピーキング

の4技能をバランスよく伸ばすことができます。
学校の授業だけでは補いきれない部分も強化されるので、学校の勉強が簡単に感じられるようになり、定期テストで高得点が狙いやすくなります。

得意科目があると、子供の自信にもつながりますね。

中学受験に効く英検 ー入試おけるさまざまな優遇措置

英検の取得級によっては、中学受験において優遇される場合があります。


合格すると英語力の証明になりますので、一部の学校では、英検の級に応じて入試の英語科目が免除されたり、加点が得られるなど、受験生に大きなアドバンテージを与えてくれることがあります。


英検の上位級になってくると、英検の対策をすることで受験の英語試験内容と難易度がカバーされることもあり、その場合には入試対策も同時にこなすことができます。


加えて、英検の筆記試験会場のピリッとした雰囲気は中学入試の試験会場の雰囲気にそっくり。
級を進めて受験を重ねることで、試験慣れすることができます。


二次試験の対面でのスピーキングテストも、中学受験の面接の良い練習になるでしょう。

英検の勉強を通して社会問題や時事問題に強くなる

英検の問題には社会問題や時事問題が多く含まれており、勉強を通して子どもは総合的な学習能力を育むことができます。


英検問題のテーマとして取り上げられる内容は多岐にわたります。

環境や医療、テクノロジーの問題、教育、文化、科学、経済、政治に関する話題など、さまざまなトピックに目を向けることができます。

このような視点の広がりは、ただ単に英語力を上げるだけではなく、通常の小学校の授業ではカバーしづらい範囲の知識も広げてくれます。

英語を楽しみながら勉強できる

年齢が上がると英語の習得はいわゆる「お勉強」になりがちです。
単語帳で単語を覚え、文法を学び、問題集をひたすら解く…あまり楽しくはありませんよね。


しかし小学校低学年くらいであれば、環境さえととのっていれば日本語を習得するのとあまり変わらない形で英語に触れ、自然に楽しみながら英語を習得していくことができます。

いまは英語の勉強をゲーム感覚でできるアプリやサイトもいろいろあります。
楽しく遊びながら英語を身につけていくことが英検合格へと通じる道ということもあるのです。

小学生が英検を受けるデメリット

メリットの多い小学生の英検受験ですが、若干のデメリットも存在します。
後で「知らなかった!」とならないために、ぜひご一読ください。


親として注意しておきたいポイントもお伝えしますので、合わせて参考にしてください。

大学受験には効かない場合がある

学校によりますが、小学生のうちに取得した英検の結果は、特に大学受験の際には提出できない可能性があります。


先ほど中学受験における優遇制度について紹介しましたが、高校や大学にも同じような制度を設けている学校があります。

英検自体は、一度取得したら一生有効な資格です。TOEICやTOEFLのような有効期限はありません。

大学入試で英検を使う場合には、大学が有効期限を独自に設定していることがあるので、注意が必要です。

条件は学校により異なりますが、英検取得の時期を出願2年以内に限定している場合が多いようです。
つまり、仮に1級に合格していたとしても、それが小学生の時であれば大学入試での優遇が受けられなことになってしまうのです。


学校により基準が違いますので、高校にしろ大学にしろ、志望校が確定したら募集要項で確認することをおすすめします。
有効期限が設定されている場合には、もう一度英検を受験し直す必要があります。

英検が子どもの精神的な負担になる可能性

小学生が英検を受ける場合、試験のプレッシャーを過度に感じてしまうことがあります。


英検が初めての本格的な検定試験というお子さんも多いでしょう。
試験勉強という言葉自体がストレスを引き起こす要因になるかもしれませんし、試験会場の雰囲気や面接での緊張も子どもの精神的な負担になりがちです。
さらに、英検は試験の後に結果を待つ期間があるため、合格発表までの時間が子どもにとってもどかしく落ち着かないものになることもあります。


こうした精神的負担は完全に無くなるものではありませんし、適度な緊張感はむしろ集中力を高める効果もありますので、一概に悪いものだとは言えません。


お子さんが精神的に追い詰められてしまうことのないよう、家庭で注意深く見守り、サポートしてあげることが大切です。

小学生からみた英検各級別の難易度

小学生のベストな受験級を検討するにあたり、小学生にとっての各級の難易度をみていきましょう。
全ての級について詳しく掘り下げていきます。

英検5級の難易度

英検5級は中学初級程度の内容で、小学生にとっては多少チャレンジングかもしれませんが、そこまで無理することなく達成感を味わえる難易度です。


初歩的な単語や文法が出題され、簡単な会話文を聞いたり、短めの文を読んだりする能力が問われます。
小学校の授業だけではカバーしきれない部分があるため、英検用の教材を使っての学習が必要になります。
特に英単語と文法の基礎を押さえておくことが重要で、決まったフレーズを繰り返し聞いたり、書いて覚えたりすることも有効です。
リスニング対策も忘れずにするようにしましょう。


小学生の子どもの英検第一歩として、最も挑戦しやすい難易度といえます。

うちの子も5級からはじめました!

中学入試での優遇措置については、5級でも受けられる場合があります。

学校によって条件が違いますので、募集要項で確認してみると良いでしょう。

英検4級の難易度

英検4級は中学中級程度の内容になります。
基本的な英語力を一段階深める意味で、小学生には有意義な目標といえます。


試験内容は初歩的な5級よりはやや難しいですが、今後の英語学習の基盤となる文法事項が多く含まれているので、英語の基礎固めにぴったりな級です。
問題は日常的な内容になりますので、レベルアップを目指す小学生には挑戦しやすいでしょう。

中学受験での優遇措置は4級から対応する学校が増えてきます。

入試での優遇は英検へのモチベーションにつながりますので、志望校が優遇を実施しているかチェックしてみましょう。

英検3級の難易度

英検3級は中学卒業程度の内容になります。
全体的に難易度が上がりますので、これまでの級と比べてしっかりとした試験対策が必要な場面が増えてきます。


3級からはライティング問題が加わるため、文章を英語で書く練習が必要になります。
また二次試験にはスピーキングも入ってきますので、英会話の練習も忘れずにしておきましょう。
この級の合格を目指すことで、文法の総まとめができ、基本レベルの英語力をしっかり身につけることができます。


小学生のうちに合格できれば、英語に対する大きな自信につながる級です。

英検3級を取得していると、中学受験で優遇を受けられる学校の幅が広がります。

志望校が優遇制度を採用しているようでしたら、3級に合格していることがメリットになる可能性が高いです。

英検準2級&準2級プラスの難易度

英検準2級は、中学生の学習内容を超え、高校で勉強する英語になります。
具体的には英検準2級は高校中級程度、新設された準2級プラスは高校上級の難易度になりますので、小学生には結構ハイレベルな内容です。

準二級は日常生活に関係した内容が出題されますが、準2級プラスでは、身近な社会問題を題材とした問題も出てきますので、小学生新聞を定期購読するなどして早めに対策しておくのがおすすめです。
また、準2級プラスからは英語の要約問題が新しく入ってくるので、こちらの形式にも対応できるように準備が必要です。

どちらの級も、ライティングとスピーキングの試験があるので、きちんと練習してから試験に臨みましょう。


小学生には挑戦しがいのある難易度ですが、合格により大きな成長を実感できます。

英検2級の難易度

英検2級は高校卒業レベルで大学入試に匹敵する内容となり、小学生にとっての難易度はかなり高いです。
勉強しはじめた頃は単語の難しさやテキストの長さに不安を感じるかもしれませんが、挑戦すること自体が英語力の向上につながる級です。


まずは頻出単語を覚えることが、この級の合格への近道になります。
内容的には日常的な事柄に加えて社会性のある問題が出題されます。

小学生には馴染みのないテーマも出てきますので、日頃から本を読んだり新聞を読んだりして、大人であれば一般的に知っているような社会問題・時事問題に慣れておくことがとても大切です。

ライティングやスピーキングの試験では、自分の考えを展開することが求められます。

お子さんの学年や性質にもよりますが、小学生にはいきなり英語で論理的に書く・話すというのは難しい場合が多いででしょう。

同じ問題を、まずは日本語で練習してみるのも一つの方法です。


多くの小学生にとって手強い内容になってきますが、英語力の向上が確実に見込め、英語検定の醍醐味を体験することができます。


英検2級を持っていると、中学受験でかなり有利になります。

いわゆる難関校の入試や帰国生入試でも優遇措置が受けられる可能性があります。
最も良い優遇を2級以上に設定している学校もありますので、ご興味のある方は志望校の募集要項で確認してみてください。

英検準1級の難易度

英検準1級は大学中級程度の内容で、とても高度な英語力が必要です。
小学生にとって大きなチャレンジとなるでしょう。
しかし適切な対策をすればこの難易度は克服できますし、すでに多くの小学生が合格を勝ち取っています。

うちの子は小学校5年生の時に準1級に合格しました。小学生でも合格できますので、ぜひチャレンジしてみてください!

語彙の幅広さ、リスニングでの瞬発的な理解、ライティングでの構成力、スピーキングでの発信力など、総合的な英語力が試されます。
さらに、一般的な時事・社会問題全般に関する知識や、自分の意見を論理的かつ詳細に表現する技術も必要になってきます。


小学生にとっては英語力だけで合格できる級ではありませんので、日頃から意識を高く持ち、新聞を読んだりニュースを観たりして、家族で社会的な話題について話し合う習慣が合格へとつながります。

中学受験の優遇措置では、準一級を持っているとほとんどの学校で最高レベルの優遇が受けられます。

合格するのは大変ですが、その分、大きな見返りもある級です。

かなりの時間と労力、モチベーションの維持が必要になりますので、親子共に受験には覚悟が必要になってきます。

しっかりとした目的意識を持ち、家族で一丸となって合格に向かって協力していける体制をととのえていきましょう。


家族のサポートが不可欠な級ですが、準1級合格という大きな成果は別次元の自信を子どもに与えてくれます。
人生の困難にも立ち向かえる勇気と自信を得ることができるでしょう。

英検1級の難易度

合格には卓越した英語力が求められる英検最高峰が1級です。
大学上級程度のレベルということで、小学生にとっては内容も英語も未知の領域かもしれません。

しかし2023年には東京都の小学校3年生の子が合格したことがニュース2になっていますので、不可能ではありません。


二次試験の面接では、その場で提示されるトピックの中から一つを選び、2分間の英語スピーチを行います。

そしてその内容に基づき、英語での質疑応答をすることになります。

英検1級の勉強をとおして、英語力だけではないさまざまな能力を向上させることができるのは間違いありません。
日本語でも小学生には難しいことばかりですが、途方もない努力と熱意、高いモチベーションがあれば、その壁を乗り越えることも夢ではないのかも。

我が子もいずれは1級に挑戦する予定です。

その際には勉強法など詳細レポートできればと考えています。

まとめ:小学生は5級から受けるのがおすすめ

小学生は英検5級からの受験がおすすめです。
5級で中学生の学習内容を含んでいますので、小学生にとってはすでにチャレンジになります。

5級の出題は日常生活に関係した初歩的な語彙や基本的な文法が中心です。
低学年で受験するのであれば、ゼロからの英語学習になりますので、まずこちらの級の合格を目標に頑張りましょう。
小学校で英語の授業が本格的に始まっている子どもには、他の級に比べて無理なくチャレンジできる難易度と言えます。

初めての受験ですので、ここでつまずいてしまうと、英語の学習それ自体が嫌になってしまうかもしれません。
子どもの成功体験につながるように、勉強の進捗具合をみて受験のタイミングを決めることが大切です。

英検を受験する前には、過去問をやって英検の形式に慣れておくのがおすすめ。解答用紙の使い方も忘れずに確認しておきましょう!

中学受験での優遇を希望する場合には、志望校の募集要項で優遇に必要な級を確認し、まずは5級から始めてその級まで順番にステップアップしていく形が無理なくおすすめです。

長期海外在住経験などのあるお子さんで、すでに英語の学習がかなり先に進んでいるのであれば、もっと上の級から始めることを検討してみても良いかもしれません。
ただ、英検では特に2級以上は社会問題に関する出題がありますので、英語力以外の点も考慮に入れて受験級を選択する必要があります。

英検のために努力をして合格の達成感を味わうことで、より上の級に挑戦したくなる。
そんな良いループができるのが理想です。

以上、小学生の英検受験において何級から始めるのがベストなのか考察していきました。

みなさんのお役に立てましたら幸いです。

  1. 英検(実用英語技能検定)|公益財団法人 日本英語検定協会, 受験の状況, https://www.eiken.or.jp/eiken/about/situation/ , 2025年5月22日参照 ↩︎
  2. 産経新聞, 小学3年で英検1級合格 足立区の男子児童、将来の夢は「宇宙飛行士」, https://www.sankei.com/article/20231209-3U5RSLPHRFLLZFMCVT2ZNIU7HU/ , 2025年5月22日参照 ↩︎
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